近年、エベレストの登山者が年々増えている。
これらの背景にはルートの確立、そして何といっても公募登山隊の普及が挙げられる。
それにより一昔前のように、国を挙げて遠征隊隊を組むことなくエベレストに登れるようになった。

また以前は全く未知だったルートも体験者により写真や映像と共に報告がなされ、益々身近に感じられるようになってきた。
そう言った背景で世界一高い山「エベレストに登ってみたい」という、少し前ならば夢物語だった話が現実味を帯びてきている。
エベレストに登るには?
ネパール側からの南東稜登山に関して言えば、毎年ベースキャンプから山頂までフィックスロープと呼ばれる、ルートに固定されたロープが張られそれを辿っていくだけで山頂に到達できる。
では誰でも山頂までいけるのか?
「はい」とは言い難い。さすがに世界一の標高を誇っているのでそれなりに難所がある。
(余談ではあるが、エベレスト南東稜のベースキャンプは5,300m、山頂は8848mなので約3,500の高低差。単純な登る高低差でいえばアフリカ大陸のキリマンジャロ5895mが世界最大の独立峰である。)
エベレスト登山の難所は3つ。
1.体力と体質
薄い空気の中を行動できる体力が必要である。また登山期間が6週間以上になるので、テント生活に耐える力も必要だ。
また高度に順応できる体質が絶対条件になる。お酒が飲めない人がいるように、どうがんばっても高度順応できない人がいる。体質的に高度順応が出来なければもちろん登れない。
<参考リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その3、身体能力
2.登山技術、経験
夏の富士山のように体力があれば誰でも登れるというものでもない。ロープが張られているので氷壁をダブルアックスで登っていく技術は求められないが、雪原歩行や、一通りのザイルワークが求められる。
<参考リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その4、登山技術。
3.資金
多くの登山家にとってエベレストの敷居を高くしているのはこの資金と言ってもよい。
こと南東稜があるネパール側はエベレスト入山者に対して多大な登山量を課している。一人申請と、チーム申請により料金が違うがおよそ100万円から250万円の入山料を政府に払わねばならない。
これは登頂したら支払うものではなく、登頂できるできないにかかわらず、エベレスト登山を行うならば支払わなければならない。
<参考リンク>
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その2、資金。
今回はこの資金の面をいかに安くするかに焦点を当てた。
いかに費用を抑えるか
結論から述べると、公募隊に所属することなく単独で登るということだ。
2013年現在日本でエベレスト登山を申し込むと一人当たり700万~1000万円近くかかる。しかしこれらは公募隊であるから、様々な費用が含まれている。
内訳は大体このようなものである。
・入山料
ネパール政府に支払う。
・登山ガイド料金
登山にあたりサポートしてくれる人に対する人件費
・滞在費
エベレスト登山の間にかかるテント、燃料、食料など全般。
・運搬費
荷物や、自分自身の移動にかかる費用。
・その他
酸素ボンベや、ルート使用料など。
大まかに以上のようなものである。
つまり公募隊に所属せず、自分ですべて用意できればこれらの費用の大部分が節約できる。
最低でも必要なのはネパール政府に支払う入山料とルートの使用料だけ。

入山料の支払いの裏技として、一人申請は高額になるので公募隊のリストに名前だけ登録しておけば、隊の料金で済む。実際にそういう人が何人かいた。
それから南東稜登山で必要なのはアイスフォールを抜けるためのルート使用料。ここさえも個人でルート開拓していけば料金はかからない。しかしそれには熟練した技術が必要だろう。
よって個人で残りの準備ができるのであればエベレスト登山にかかる費用は
入山料+ルート使用代
だけで、おおよそであるが150万円以内に収まる。
つまり本気ですべて自力で登る覚悟があるならば、これが最低ラインで、ここから酸素や、食費、ベースキャンプ維持費などを自前で用意すればよい。
実在したプロ登山家
一応妄想でないことを実話を通じて話そう。
私がエベレスト登山中に出会ったイギリス人の登山家はやはり公募隊のリストに名前だけ登録し、単独ですべてを準備していた。
彼はベースキャンプを作らずに、ベースキャンプに一番近い村からベースキャンプを通過し一気にキャンプ2まで上がり、そこをベースキャンプにしていた。
そこから登山を開始。
無酸素である。
個人でシェルパを雇い、万が一に備えて酸素ボンベを一つだけ持って付いてきてもらう。キャンプ3も作らずに、一気にキャンプ4まで上がり、アタックを目指したが、体調不良のために断念。
この彼のような登山を行えば、エベレスト登山と言えど今言われている金額よりずっと安く登れるだろう。
しかしそれには労力とリスクが伴うことも忘れてはならない。あくまでもプロフェッショナルな人向けである。
<関連リンク>
【エベレスト登山】2014年2月ネパール政府がエベレストの入山料の変更を発表。
【エベレスト登山】南東稜 エベレストを安く登る方法・一般編。
【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その1、時間。
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