2014年前回の記事にてエベレスト史上最悪と言われる事故が起ったことについて書いた。
この事故の犠牲者は地元ガイド、シェルパだった。
シェルパは高所に住む民族の呼び名であったが、ヒマラヤ登山が盛んになるとヨーロッパの登山隊が地元の案内や荷物運びに彼らの協力を得たことからはじまり、高所に強いとされるシェルパの名はいつしかヒマラヤ登山ガイドの代名詞として使われるようになった。
実際エベレストなどの登山を陰でサポートするのはシェルパの人々だ。
ルートを開き、工作し、荷物を運び、テントを設置する、高所での食事の準備さえ用意してくれる。
これらシェルパの働きがあってこそ公募隊が成り立つ。
今回の事故では16人死亡したがいずれもシェルパであり。特にアイスフォールと呼ばれるベースキャンプ(標高5300m)からすぐ上方の難関エリアのルートを工作する「アイスフォールドクター」と呼ばれるチームのメンバーだった。
アイスフォールドクターは毎年エベレストの登山期になると、崩壊した氷河の間にルートを見つけロープを張っていき、クレバスにははしごをかけ登山者のサポートをしている。
登山期に彼らが一番に危険なアイスフォールに足を踏み入れ、エベレスト山頂への道を切り開く。今回の事故はそのアイスフォールのルート工作中に起こった。
この事故を受けてシェルパ達は政府に対して、より高い補償金や支払保険金の改定などの要求していたようだが、その交渉が実を結ばなかったようだ。
4月22日にシェルパ達は2014年度春季の登山を中止することを決めた。
近年エベレスト登山の主流になっているガイドが顧客を山頂まで導くいわゆる「公募隊」はシェルパがルートを作ってくれるからこそ顧客を山頂に案内できるのであって、シェルパによりルートが工作されなければ山頂への道のりはかなり厳しく困難。
ネパール政府が登山を中止していないのであればガイド達が共同で、シェルパを雇わずにルートを工作するという方法もあるがどうだろうか?
何年もルート工作を手がけてきたシェルパ達を抜きにルートを工作するのはかなりの労力と時間がかかるだろうし、荷揚げまでシェルパ抜きで行うなると実現性は低いだろう。
シェルパの協力が得られなければ2014年春季の南東稜・ネパール側からのエベレスト登山は終了と言ってもよい。
<関連リンク>
(外部)BBCニュース(英語)
(外部)ヤフーニュース「シェルパ、今年のエベレスト登山中止」
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