【エベレスト登山】エベレスト登山に必要なもの4つ。その4、登山技術

前回3回に渡り、エベレスト登山に必要なもの4つをそれぞれ述べてきた。

今回は最後の4つめである、登山技術について。(時間資金身体能力については前記事参照)

エベレスト
エベレストに登る登山技術はどうか?

エベレストに登山技術は必要か?

エベレストが未踏峰であった1953年前までは各国が国を挙げて精鋭部隊をエベレストに送り込んだ。この当時であればエベレストの登山は本当に一握りの登山家にしか開かれていない道であっただろう。

しかし初登頂から60年経過した現代、エベレストの登山ルートは開発し尽くされ、ことネパール側からの南東稜からは毎年数百人が登頂している。

仮にエベレストの登山を考えた時に、どの程度の登山技術が必要なのだろうか。

答えは「それほどの技術は必要ない」である。

なぜ登山技術はそれほど必要でないか

「この技術を必要としない」登山になった一番の要因はルート工作にある。

エベレストでは登山期になると毎年基地となるベースキャンプから山頂までフィックスロープと呼ばれる、雪面や氷塊に固定されたロープが張られる。

エベレストのノーマルルートはルート工作がされている。
エベレストのノーマルルートはルート工作がされている。

難所はもちろん、殆どのルートにロープが張られているのでルートを見つける技術もいらなければ、必要もない。

キャンプ1からキャンプ2やローツェの基部のゆるい雪原には所々ロープが張られてないが、雪原で見晴らしがよいので相当な悪天候にならない限りはルートを見失う心配もない。

もしこのフィックスロープが無ければ、エベレストは現代のように何百人も登頂できる山ではなかっただろう。

それではどの具体的にどの程度の登山技術が必要であるか。

1.雪面、雪斜面を歩行する技術。

プラスチックブーツにアイゼン(鉄のつめ)を装着し、確実に進める技術。

登山靴にアイゼンを装着したところ。
登山靴にアイゼンを装着したところ。

エベレストの登山は一部の岩場や氷壁を除いて雪面、雪斜歩行が多くを占めている。

従ってアイゼンを装着し問題なく雪斜面を登って行けなければならない。

ノーマルルートからのエベレスト登山は雪原、雪斜面の歩行が多い。
ノーマルルートからのエベレスト登山は雪原、雪斜面の歩行が多い。
 

2.昇降機(ユマール)、カラビナ、エイト環を使いこなせる技術。

登山ルートには殆どフィクスロープが張られているので、そのロープに自分の安全帯(ハーネス)を確実に繋げる基本技術が必要。

安全帯につけられた昇降機とカラビナ。
安全帯につけられた昇降機とカラビナ。

また急斜面や氷斜面、岩場では昇降機を使って自分の体を引き上げる必要がある。

逆に下降の時にはエイト環を使用し安全に下降できる技術。

これらの技術はロッククライミングによりほとんどが身につけられる。

氷壁をアイスバイルを使用し登る、ダブルアックスのような技術は全く必要としない。

またルートが工作されているのでアイススクリュー、アイスバーを使用することもない。

総合的に見てノーマルルートはルートが完璧に工作されているので求められる登山技術はそれほど高いものでない。

ひたすら自分の体を押し上げる

先に述べたように、ベースキャンプから山頂までロープが張られているので、後はこのロープに自分の体を確保しつつ、ひたすらに高度を上げていくのみである。

 というわけでトータルで見るとエベレストに公募隊に所属して登山を行うにはそれほどの技術は必要ないといえる。

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