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【エベレスト登山】図解エベレスト南西壁冬季無酸素単独は可能か。

公開日: : 最終更新日:2016/03/22 エベレスト登山 , , ,

 夢枕獏氏の著書「神々の山嶺」が2016年3月12日から全国公開となる。

 舞台はネパール、主人公の羽生丈二はエベレストを目指すという物語になっている。

 単行本は上下巻に分かれているが、次々と展開していくストーリにあっという間に読めてしまう。

 ネパールを訪れた人やエベレストトレッキングを行った人は、その雰囲気や風景を思い出しながら読める一冊。

リアル・エベレスト南西壁冬季無酸素単独は可能か?

「神々の山嶺}の頂では主人公の羽生丈二がただでさえ単独では登頂困難とされるエベレストに、寒さの厳しい冬季、地上の三分の一しかない酸素の中、酸素ボンベを使わない無酸素、極めつけは標高6500mから山頂までの南西壁に挑む。

 物語と同様のことが果たして現実でも可能なのか?を検証してみたい。

南西壁ルートといえど

 原作「神々の山嶺」でも述べられているが、難関南西壁ルートと南東稜ルートは標高6300mのキャンプ2までは全く同じルートである。下図を参考にしてもらいたい。

【図】エベレスト南東稜図

【図】エベレスト南東稜図


【図】南西壁ルート図(羽生ルート)

【図】南西壁ルート図(羽生ルート)

 南西壁、南東稜ルートの違いはキャンプ2からの進行方向にある、南西壁は文字通りエベレストの南西壁を直登するルート。
 
 言うまでもなくベースキャンプの位置は南西壁、南東稜も一緒である。

いきなり難関が待ち構える

 作品にも描かれているが、単独で登る場合ベースキャンプ上部がいきなり難関。エベレスト登山の中でも危険といわれるアイスフォールが待ち構えている。

2014年にはここで大きな雪崩が発生したために多くの登山ガイド(シェルパ)が亡くなった。
 
 通常のエベレスト登山期であれば、ここは熟練の登山ガイドによりルートにロープが据え付けられ、氷の割れ目にははしごが設置される。

 登山者はそれに沿って進んでいくだけでアイスフォールを抜けることができるが、単独であればそうはいかない。

 自らの力でルートを切り開いていかなければならない。そして氷の割れ目を迂回し、氷壁を乗り越えていかねばならないということになる。

 ここを抜けられる個人が現実にいるのだろうか?

【図】難関アイスフォール。

【図】難関アイスフォール。

 上の図で見るとアイスフォールはただの洗濯板のようにしか見えないが、実際は違う。大小さまざまな氷塊がゴロゴロとしている氷の迷宮。登山者はその中をアリのように進む。

【写真】氷の迷宮アイスフォール。単独でここを抜けるのは至難の業。

【写真】氷の迷宮アイスフォール。単独でここを抜けるのは至難の業。

さらに拡大してみよう。

【写真】アイスフォールは氷塊が複雑に折り重なっている。

【写真】アイスフォールは氷塊が複雑に折り重なっている。

【写真】アイスフォールには氷の割れ目クレバスが多数ある。

【写真】アイスフォールには氷の割れ目クレバスが多数ある。

【写真】アイスフォール上部は氷塊が大きく、はしごを連結したもので超える。

【写真】アイスフォール上部は氷塊が大きく、はしごを連結したもので超える。

 果たしてこのアイスフォールをサポートなし単独、個人の力で突破できるのだろうか。

 エベレスト登山史上、単独で登頂したとされるのはイタリア人のラインホルトー・メスナーそしてイギリス人のアリソン・ハーグリーブスとされているが、いずれもチベット側からのアプローチである。南西壁はネパール側である。

 つまり人類史上アイスフォールを単独で抜けた人物はいない。

とここまでで既に現実ではエベレスト南西壁冬季無酸素単独がいかに偉業であるかがわかる。

南西壁攻略はどうか

1975年にイギリスのダグ・スコットがエベレストの南西壁初登攀に成功している。しかし単独ではない。詳しくは1975年イギリス隊を参照(英語)
 
 これを見ると隊でルートを確保し、キャンプをあげて南西壁を攻略。やはり単独での登攀は困難なようだ。

【写真】エベレスト南西壁。

【写真】エベレスト南西壁。

歴史的偉業

 羽生丈二が挑むエベレスト南西壁冬季無酸素単独はリアル世界では想像を絶する困難さ。

 とにかくベースキャンプから上部に向かうだけでもアイスフォールという難所が待ち構えている。仮にこれを抜けたとしても、標高7000mから8000mに南西壁がある。

 ここを無酸素で突破し、山頂に辿り着けたのならばそれはもう歴史的偉業となるだろう。

<関連リンク>
【エベレスト登山】南東稜側からの単独登山を考える。
【エベレスト登山】「神々の山嶺」エベレスト南西壁冬季無酸素単独はどれほど難しいのか。



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