エベレスト登山において標高7900mのキャンプ4を超えると「デスゾーン」に足を踏み入れたことになる。
デスゾーンとは何だろうかというのが今回の内容。
「デスゾーン」日本語の意味は「死の地帯」。
デスゾーンの概要は
登山において酸素量が人間の生命を維持するのに不十分になる地帯。それは一般的に8000m(大気圧が356ミリバール以下)とされている(意訳wiki Effects of high altitude on humans)
これは1952年のスイス隊の遠征に参加したスイスの医師であるエドワード・ウィス・デュナンが初めて言及したとされている。
それではデスゾーンについて更に詳細に見てみよう。
以下は主にウィキペディア(英語)「エベレスト」及び「高度の人体に及ぼす影響」からの意訳。
エベレストの標高8000mを超える高所において登頂を目指す登山者は多くの時間をデスゾーンで費やさなければならない。
デスゾーンは気温が非常に低くなり、露出し空気に触れている部分は凍傷になる可能性がある。
また雪は完全に凍結して、スリップしやすい、これが原因で怪我や滑落もしやすくなっている。
また強い風も驚異になりうる。
そして何といっても登山者にとって大きな脅威は低気圧である。エベレストの山頂付近の空気は海抜0mのおよそ三分の一。結果として三分の一ほどの酸素しか存在しない。
もし、高度順応をしていない、海抜0m付近に暮らす人をここに連れてきたら2,3分で意識を失うだろう。
標高8000m以上の行動するために典型的な高度順応で4週から8週かけてもデスゾーンにおいての人間の消耗はすさまじい。
サウスコル、キャンプ4から山頂まで距離にして1.7km、高低差約1000mを歩くのに12時間かける人もいるほどだ。
7500mを超える超高所(大気圧383ミリバール)では寝るのが非常に困難になり、消化はほぼ不可能になる。そして肺水腫や、脳浮腫の危険性が大幅に増える。
2007年5月コードウェル隊は高所における血中酸素の医療テストを行った。このために200人を超えるボランティアがベースキャンプまで来た。チームのメンバーは山頂に辿り着くまでの途中でも検査を行った。
その結果、海抜0m付近では血中酸素量が100%近いのに対して、ベースキャンプでは85から87%に落ちた。
血中の産量が落ちるとその結果、呼吸回数が多くなった。単に呼吸をするだけで疲労が蓄積していく。
酸素不足、疲労、寒さ、そしてそこで登山を行うことは死亡率を高くする。
デスゾーンで自力で歩けない人、怪我をした人はヘリコプターでも救出が難しいため、かなりまずい状態になる。
デスゾーンでは自分自身の生命活動を維持するだけで精一杯になるため、他の人を助けると己の体力も消耗し共倒れになる。
またこのエリアでは遺体を運び下すこともできない。人間の遺体は50~80kgそれをデスゾーンで運ぶことは運搬者の命をも削るからだ。
残された遺体は腐敗させるバクテリアもいない氷と雪の死の世界に永遠に留まることになる。
そのためエベレストにはまだ約150の遺体が取り残されている。
ネパール側からのノーマルルートでは遺体を見かけることも珍しいことではない。
まとめると
デスゾーンとは
・酸素量が地上の三分の一になり、呼吸回数が増え、疲労する。
・高所のために自然環境が厳しい。寒さ、風、雪、氷。
・酸素不足のために思考能力、判断能力が弱まる。消化機能も低下。
・死に至る高山病率が高まる。肺水腫や脳浮腫など。
・自分の生命を維持するのが精一杯であり、他人を救助できない。
以上のように人間が生命活動を営むのさえ困難になる死の地帯のことである。
エベレスト登山が大衆化しつつあるが、こういった危険なエリアに身をおかなければならないことを登山者は忘れてはならない。
<関連リンク>
(外部)ウィキペディア エベレスト(英語)
(外部)ウィキペディア 高所の人体への影響(英語)
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