2014年4月28日タレントのイモトアヤコ氏のエベレスト登頂断念が報じられた。
登頂断念の理由は
今月、シェルパが多数巻き込まれる雪崩が発生。ルート作りをしてもらう予定だった他の隊が登頂を中止したため、イモトさんたちも登頂が難しくなった。
となっている。
この理由を少し詳細に解説してみよう。
近年エベレストの山頂を目指すルートは大きく二つ。ネパール側と中国(チベット)側から。
ルートからすべてナゾに包まれていたイモトアヤコ氏はネパール側がらエベレストを目指していたことが判明した。
ネパール側からのエベレスト登山簡単説明
ネパール側からエベレストを目指す場合、標高5300mのベースキャンプが登山をするための基地になる。
ここで重要なのがエベレスト登山は通常の登山のように一気に上っていける山ではないということ。そこで基地になるキャンプが必要になる。
なぜ一気に登れないか?
それは標高が高く、人間の体が高さに対応できないからである。簡単にいうと空気が薄くなり、それに伴い体の内部で様々な変化が起きる。これが諸症状としてでるのが高山病。
そこでエベレスト登山では
ゆっくりと高度をあげて体を慣らしていく行動が重要になる。この高さに体を慣らす作業が高度順応と呼ばれる。
エベレスト登山ではこの高度順応がとても大事。エベレスト登山に時間がかかるのはこの高度順応があるから。
高度順応はおおよそ標高7000m前後まで行う。それ以上は人間の体が順応しにくくなるので、酸素ボンベを使い一気に山頂を目指す。
標高8000mを超えると「デスゾーン」と呼ばれる領域になり、高度順応どころか滞在しているだけで体が死に向かっていくエリア。ここでの滞在時間をできるだけ短くして山頂へ向かう。
エベレスト登山はいかに高度に順応できるかがカギを握っている。
まとめるとベースキャンプとは
ゆっくり登る→滞在が長くなる→居住できる場所が必要→それがベースキャンプ(基地)と考えてもらえばよい。
次にルートについて
ネパール側からエベレスト山頂を目指す場合、難所と呼ばれる場所がいくつかある。これを標高の低い方から順番に簡単に。ここでは詳しい解説は割愛しますが、詳細が知りたい人は関連リンクをどうぞ。
・アイスフォール
標高およそ5300m~5900m 大小氷の塊がゴロゴロとしていていつ崩れてくるか分からないところ。
<関連リンク>
【エベレスト登山】クンブーアイスフォール
・ウェスタンクーム
標高およそ 6000m~6400m 大きなクレバス(氷の深い溝)があり通行が難しい。
<関連リンク>
【エベレスト登山】ウェスタンクーム
・ローツェフェイス
標高およそ 6500m~7600m にある氷の急斜面。
<関連リンク>
【エベレスト登山】南東稜 ローツェフェイス
・イェローバンド
標高7800m辺りにある岸壁。
【エベレスト登山】南東稜 イェローバンド ジェネバスパー
・ヒラリーステップ
山頂直前にある高さ12mの岩壁。
<関連リンク>
【エベレスト登山】南東稜 バルコニー 南峰 そしてヒラリーステップ
という具合になる。こういった難所は個人や隊でルートを切り開くのは難しいがエベレストではルート工作を担ってくれる人がいる。それがシェルパである。
エベレストの難所はシェルパがルートを工作してくれるのが1990年台以降は当然とされてきた。
2014年4月18日の雪崩事故に巻き込まれたのはこのルートを工作しているシェルパ16人だった。
この事故を受けてシェルパ達は今期のルート工作を断念。
シェルパがルート工作してくれないと
シェルパがルートを工作してくれないとなると一体誰がルートを工作するのか?という話になる。
一言にまとめるとシェルパがルートを工作してくれなければ難所を通過できないので他の登山隊は登山を諦めざる得ない。
これが2014年春季の雪崩事故により引き起こされた状況である。
まとめると
近年のエベレスト登山は各隊が独自にルートを切り開くというよりもシェルパが作ったルートを登るというスタイルになっていた。
今回の事故を受けてシェルパ達がルート工作を断念したので、他の隊も登山を諦めざるをえないことになったというわけである。
<関連リンク>
(外部)イモトさん、エベレスト断念…雪崩で他隊中止し
【エベレスト登山】簡単説明。山登りしない人でも分かるエベレスト登山。
【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その1
防災、キャンプでも使えるポータブル電源【PowerArQ】
ツイッターで更新、最新情報をつぶやいています。
@bikeandmagicさんをフォロー