いつも通過する通りに顔見知りになったバングラディシュ人がいる。
彼の名前はカマル君、25歳の若者だ。
いつ、どんな時にその場所を通っても必ず移動土産物屋の店番をしている。カーニバル中はもちろん、平日、そして土曜日、日曜日も必ずいて「チャオ」と手を振ってくれる。
どう考えても毎日いるのだ、そこで先日
「いつお店を閉めているの?」
と聞いてみた、すると返ってきた返事は
「一年中開けてるよ」
だった。
「えっ、一年中?」
と聞きなおしてしまった。
「そうだよ一年中」と彼は平然と言う、
「じゃあいつ休みがあるの?」
と尋ねなおすと、
「ないよ」
との返事が返ってきた。
「まさか、365日出勤しているわけじゃないでしょ?」
と私が尋ねると
「そう、365日ここに来ているよ」
と普通の顔で言う。
今まで彼を見かけた状況からして、あながち嘘ではない、思い出しても彼が店番をしていなかった日は無い気がする。
「毎日何時から何時まで?」
と興味が沸いて聞いてみる、
「朝の9時から、夜の9時までだよ」とカマル君は言う。
おもちゃを売って捕まっても捕まっても路上に戻るバングラディシュ人を見て「逞しいな」と思っていたが、365日欠かさず店を出す人もいる。バングラディシュの人の出稼ぎに対する姿勢に驚かされる。
バングラディシュを訪れていた時は、「ここの国民は少し怠け者じゃないのか」と思っていたのだけど、出稼ぎに来ている人々はそんなことはない、むしろ働き過ぎ、余計なお世話かも知れないが、少しは休んで欲しいくらいだ。
またそしてそうまでして稼いだお金をバングラディシュの兄弟8人いる家族に送っているというのだからもう恐れ入る、むぅ。これからカマル君の前を通過する時は少し拝む気持ちで挨拶することにしよう。