15 イタリア回遊編

森の中に住む人々

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 グラードの街はアドリア海の潟湖に浮かぶ小さな島の一つの中にある。

 「島」と言っても陸と長い橋で結ばれているのであまり「島」という感じはしない。

 地図を見るとその島にかかる橋がなんと7km近くある。

「海の中を渡る橋なんて最高に違いない!」

と瀬戸大橋の様な立派な橋を思い浮かべて、グラードを訪れてみることにした。

しかし実際には潟湖というのか、浅瀬というのか、橋ゲタも何も無い、海中を埋め立て盛り上げただけの道が島まで続いているだけだった。炎天下の中日陰すらない橋の上をひたすら進む、しかも向かい風で感慨も何も無い、必死で橋を渡った。しかし島というのは本当で、地図を見ると360度海に囲まれている。

【写真】炎天下をひぃひぃ言いながら長い橋?を渡る。

【写真】炎天下をひぃひぃ言いながら長い橋?を渡る。

 グラードに着くまではイェソロの様な海沿いの観光地化されたリゾートを思い浮かべていたのだが、いざグラードに到着すると、古びた教会や街並みがある、どうやら歴史のある街のようだ。

 ついでにウィキペディアで少し調べてみるとローマ時代、なんと西暦400年からある街だというので驚いた。日本で西暦400年だと「大和朝廷」だとか「古墳時代」などで、その時代からハッキリと続いている街などあるのか不明だが、イタリアには紀元前から続く街が至るところにある。そういった街を見ると欧州の歴史がいかに深いかが、いやでも分かる。

 ここグラードの街の路上でふと「ハイ」と見知らぬ男性に声を掛けられた、全くもって誰だか分からないのだけど、向こうはこっちをしている様子で

「調子はどう?」

と話しを続ける。

「調子はいいけど、どこかでお会いしましたか?」

と失礼のない様に訊ねると、男性は

「ほら、リニャーノで会ったジョセフだよ」

と男性は言う。確かにリニャーノでジョセフに会ったがこんな顔だとは分からなかった。なぜなら彼はいつも顔にペイントをして路上に立っているスタチュー(銅像芸)だったから。ペイントしていない彼の顔は全く初めて会う人の様で結構いい男で驚いた。ペイントするのはもったいない。

 ジョセフがいるということは彼女のエバもいるの?と尋ねると「エバはあそこでやっているよ」と少し離れた路上を指し示す、通りの片隅に人が集まっている場所がある、どうやらエバはそこでスプレーアートをしているようだ。

 それから数日後、路上で準備をしているエバを見かけたので「やぁ」と話しかける。エバも覚えていてくれたらしく「やぁ!」と明るく返事を返してくれた。まだ通りに人が少なく、彼女もスプレーアートを始める前だったので話が進む。路上の芸人は共通の話題が多いので話が弾む。ふと、エバとジョセフはどこに泊まっているのか?と言う話しになった。詳しく聞いてみると、森の中にテントを張っているというのだ。

「森の中?」

と言うのに驚いた、この小さな島に森があるのか?という疑問、それから話を聞くと森にテントを張りっぱなしだというのも驚いた。かく言う私も色々なところにテントを張るのだが、日中は撤収して自転車に積み込まないと心配でならない。

 有料キャンプ場ならまだしも、森の中にテントを張ってそこに荷物を全てを置いているというのはかなり心配だと思う。ところがエバが言うには「全然問題ない」というのだ。「人目につかないの?」と聞くと「大丈夫」。

「でもどうして安全なの?」

と私は質問攻めである、

「なぜなら自分達で切り開いた場所だからよ」

とエバ。その場所は完全に木々が密に生い茂っている雑木林で、その林の入り口から自分達で切り開いたそうだ。入り口は人目につかないようにひとけの無いところに作り、小道が雑木林の奥地まで続き。そこをまた開拓しスペースを作りテントを張っているのだという。

そこはその場所を切り開いた5人だけが知る秘密の場所らしい。そしてこの三年、エバさん達は夏の間グラードに来るとそこで生活しているのだという。水は近くの公共水道から貯めておいて、シャワーやトイレも近くにビーチにあるという。話を聞くとなかなか快適そうな空間だ。今度一度私も訪れてみたい。

【写真】路上でスプレーアートをしているハンガリー人のエバさん。

【写真】路上でスプレーアートをしているハンガリー人のエバさん。


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