完全に0円にになった。
今度は日本ではなく、インドで。
「またやっちまった」
こんなことになんの意味があるのか?自分に問う。
どう考えても意味はない。金もない。
ついでにカードも、トラベラーズチェックももちろんない。最初から持っていない。
ついでに海外。インド。
想像しにくいかもしれないけど、0円とは、全財産を入れた財布を落としたところをイメージしてもらえばいい。自分の全財産と貴重品を入れた財布を落とした。
海外で。
つまり「海外で、自分の全財産を入れ、ついでにカードもトラベラーズチェックも入った財布を落とした」とイメージすればいい。
無一文。インド最南端。うひょ。全く何が起こるか想像つかなくてむしろ笑う。

実はこんな状態になる旅行者はたくさんいたりする。
睡眠薬を飲まされたり、貴重品袋をスリにあったり。
そんな時、次の行動は大使館に連絡さ。
それでは大使館や領事館のないところではどうなるのか?
俺も知らない。どうしてんすか?
「助けてくれ」と困った顔をすればきっと世界中どこでも人間のいるところなら、誰かが助けてくれるだろう。きっと。
「君はおなかがすいてそうだね、一緒に食事でもどうだい」
と口ひげをたくわえたインド紳士がやさしい笑顔で温かい食事と少々のお金をくれたりするのでは、とかなり都合のよい想像をしているが現実はそんなに甘くない。
日本にはホームレスと呼ばれる人がいるが、インドにもいる。
インドのホームレスはかなり深刻だ、日本のホームレスは比較的恵まれている・・・と思う、インドと比べて。その他の国に比べて。
なぜか?まず、日本のホームレス、リストラされた、くびになった、家出した夜逃げしたなどなど、理由はたくさんあれど、まだ職を本気で探せばあるに違いない。
しかも、ゴミが豊富な日本、食べ物も賞味期限を1時間過ぎただけでゴミになる。とりかたさえ覚えれば結構快適。水道水も問題なく飲める。
高島屋の水道水などここのペットボトル入りミネラルウォーターとかわらない。
一方インド・・・仕事が本当になさそうなのだ、昼間ぶらぶらしている若者がいるような社会で仕事がない人は本当にない。探そうとしてもない、仕事自体がない。どうしようもない。食べ物事情も相当に過酷である、
ゴミはない、あっても包装がないからぐちゃぐちゃで食べれたものではない、危険な病気もたくさんある、赤痢、コレラ、腸チフス、肝炎、その他。

他人様の口をつけたものを食べようものなら容赦なく、伝染病になる世界。
水、ねーんだよこれが。水道水は・・・って水道がねーんだよ、田舎は。
井戸水。ポンプでくみ上げて飲む。にごっていても飲めるはず。ドロ味でも
飲むしかない。話はそれたけど、というわけでインドのホームレスは、ゴミに期待できない。
「家がないホームレス」というだけではなく「物を乞う」、つまり乞食と呼ばれる存在になるのだ。
しかも加えて、日本社会は一応天皇を除いて平民というかみな平等とされる社会なのだが、インドはカースト制度といって社会で身分制度が認められている。ほら、歴史で習った「士農工商」みたいなやつ、あれが未だに、現在もしっかりと残っている。もしかすると乞食のカーストがあり
もしかすると一生乞食をしなければならないのかもしれない。詳しくは知らないが、チャリンコで走っていると、ビニールテントで暮らす人々の集落があったりするのだ。

さらにインドはすごい。日本のホームレスは中年以上の男性、とほとんど相場がきまっているのだが。インドは全部いる。全種類。
老若男女問わずである。全部全種類。日本では女性のホームレスを見ることはまれである、しかしインドでは頻繁に見かける、別に珍しくもない存在である。子供もいる。日本では子供のホームレス、いるかもしれないが見たことはない。
しかしインドではたくさんいる。女の子もいる。赤ちゃん、お母さんに背負われて、「この子の食べ物をください」という母親。おじいさん、おばあさんもいる。腕のない人、足のびっこな人
本当に死にそうな人もいる。
そんな社会である、インド。
そこで今日私は0円になった。
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