手漕ぎ大西洋横断のその4です。前回はブリテイン・ゴット・タレントでまさかのゴールデンブザーを頂き、その流れでスポンサー様がついてくれたというところまでです。
ここまでは自著の「無一文人力世界一周の旅」に記述してあります。
船体見学
中古の船体を探しては持ち主にコンタクトをとっていたのですが、最終的に2隻までに絞られてきました。一つはイギリスの南部にある港に停泊している船体ともう一つがイギリスの北部スコットランドにあるHeat of the Oceanという名の船となりました。
どちらも価格は中古で3万ポンドなのでおよそ500万円前後です、前後というのはポンドと円の為替により価格が変動するのでおおよその価格となるわけです。(この記事を書いている2023年11月にはおよそ570万円前後)
イギリスの南部にある船のオーナーはデービットさんでこの船でアメリカ北部からイギリスまで手漕ぎで横断したとのこと、コンディションはよいという話でした。
もう一方スコットランドにある船のオーナーはピーターさんでこの船を使いやはり北部大西洋を横断予定であったということです。実際には練習をしただけで船体はほぼ新しいとのこと。
なかなか決定ができなかったのですが、やはり新しいということと、船体のデザインがブルガリアであったステファノさんと一緒ということでスコットランドの船を実際に見せてもらうことにします。
見に行くといってもスコットランドの北部のアバディーンという町の更に郊外ということでかなり遠い場所でした。
飛行機に乗り、エジンバラ、更にそこからバスで3時間でアバディーン、ピーターさんの家は更にバスで1時間。
町に着いたと連絡するとオーナーのピーターさんが迎えに来てくれ、いよいよ船体を実際に見ます。
ピーターさんの話では航海に必要なものはすべてそろっているので食料だけ準備すれば明日にでも出航できるという話でした。
一度目は見学と話を聞いただけで戻ります。
船体購入からデザイン
ピーターさんのところを訪問して実際に船体を見せてもらうと俄然、大西洋横断に向けて士気が高まります。
11月にスポンサーのレアゾン様との契約が正式に決まり。そしていよいよ船体を購入する運びとなりました。
ピーターさんのアバディーンに再び飛び、船体の運搬を見届けます。
船体は牽引用のトレーラに積まれているのでそれを車で牽引していく形になります。最初の運送地は船体のデザイン会社です。
デザイン会社ではそのままレアゾン・ホールディングス様から頂いた案で船体をデザインしていきます。
練習の港へ運搬
今度はデザイン完成した船体を練習するための港であるイタリアのジェノバに運送します。これが意外に大変だったのはイギリスがEUを離脱してしまったので船体をEUに運び入れるには少々ややこしい手続きがあるとのことでした。
これはジェノバで以前知り合った日本人の方の協力で何とか解決し、いよいよ船体がジェノバに到着しました。
到着した船体に実際に乗り込み、ここで毎日、船漕ぎの練習はもちろん、船内の機器の扱い方を覚えます。説明書がすべて英語なのでそれを見ながら操作方法を覚えていきます。
ひたすら練習の日々です。
食料積み込み
ジェノバの港に船が到着したと同時に日本の大道芸人にイタリアまで運んでもらった食糧を積み込みます。
メインの食料になったのは食料スポンサーとなっていただいた「尾西食品」様のアルファ米シリーズです。アルファ米というのは特殊加工されたお米で、水やお湯を加える待つと炊き立てのご飯の様になるお米です。
この利便性から登山や緊急避難用の食事としてもよく利用されています。
そして大塚製薬様からカロリーメイトを提供いただき、これも積み込みます。
概算でおよそ130日分の食料です。通常大西洋横断は60日~90日と言われているのでかなり余裕を持って積み込みました。
出発の港へ
2023年が明けた1月上旬、いよいよ出航のためにポルトガルに移動します。
船体の移動と一緒に行こうと思いましたが、規定で同乗できないというので船体は陸路移動、自分は飛行機で出発の地ポルトガルに向かいます。
出航する港はポルトガルの南端に近いラゴスにしました。自転車で通過した港なので、今度はここから手漕ぎで大西洋を横断していくという計画です。
船体は陸路、自分はジェノバから鉄道でミラノ、そこから飛行機でポルトガルのリスボン、そしてバスに乗り換えてラゴスに向かいます。
自分は早朝にジェノバを出発して夜にはラゴスに到着しました、船体は2日間でラゴスに到着。
ここからいよいよ出航です。
というわけで今回もオチもなく終了です。
<関連リンク>
手漕ぎ大西洋横断 大まかなストーリその3
手漕ぎ大西洋横断 大まかなストーリその2
手漕ぎ大西洋横断 大まかなストーリその1
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