1990年代に入ってからエベレストの登山者は右肩上がりに増え、こと2000年代になってからは更に勢いを増している。
1990年には72人が登頂し、2000年には約倍の145人が登頂し、2012年には547人がエベレストの頂を踏んだ。
2019年には1シーズン最多の史上最多の885人が登頂した。
年々増加する登山希望者
2000年代になってから急激に増加しているエベレスト登頂者。
エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイが初登頂した1953年から1973年までの20年間の登頂者はわずか38人であったのが、既述の通り2019年には1シーズンで885人である。
それはなぜか?
理由は簡単、商業・公募登山と呼ばれる登山隊が増えたからである。
公募隊とは経験のある登山ガイドがお客を山頂まで引き連れていくというもの。
1950年代~70年代のように精鋭登山家達が国の威信を背負って登るという時代は終わったのである。
エベレストはこれからますます大衆化の時代に突入するだろう。
今回は大衆化するエベレストの懸念事項について。
より多くの人がエベレスト登山をすることによって、起こりえる問題は二つある。
環境破壊
・エベレストは高度が高くなればなるほど、ゴミが多い状態になっている。
ベースキャンプではゴミの始末が義務づけられているので、比較的ゴミは少ないが、それ以上キャンプではゴミが目に付く。
特に雪上ではないキャンプ2とサウスコルに設置するキャンプ4の状態がひどい。
上部のテントでは隊員の排泄物の処理がキチンと行われておらす、また標高と気温のためにバクテリアが汚物を分解せずに風化せずに残っている。
キャンプ4に関しては食べ物のパッケージ、調理用のガス、壊れたテントなどが片付けられずに風に晒されている。
登山者が増えると、ゴミや排泄物が増加していくことは間違いない。
これを防ぐために登山隊、または登山者各個人のモラルの向上を期待するしかない。
山頂付近での渋滞
・登山者の増加は山頂付近の渋滞を酷くして、深刻な事故をもたらすといわれている。
毎年シーズンに入るとノーマルルートでは山頂まで固定のロープが張られる。しかしロープは殆どの場合が一本、備え付けられるだけである。
つまりこの一本のロープを大勢が辿りながら登山をすることになる。
登山者が多いと当然渋滞が起こる。
特に問題視さいれているのが山頂付近のヒラリーステップと呼ばれる岩場である。
ここは約12メートルくらいの岩場で人一人が通過するのがやっとの場所。
それ故に大勢がつめかけるとどうしても順番待ちになってします。
好天の日には山頂には100人以上が詰め掛ける。こうなると通過するために2時間待ちということもあるそうだ。
ディズニーランドのアトラクションに2時間待ちとは環境が大分違う。
標高8000を超えているデスゾーンで、背中の酸素ボンベを消費し、マイナス気温20度の世界で2時間である、これはもう命の危険があるといってもよい。
もし渋滞が悪化するのようならば、本当に深刻な事故が起こるであろう。
これらを防ぐために考えられているのはヒラリーステップに新たなルートを取り付ける。
また一日の登頂制限を行うなどである。
とにかく山頂付近の渋滞は命にかかわるので早急に解決策を施工して欲しいところだ。
まとめ
エベレスト登山者は年々増加の一途を辿っている。
それにより超高所ならではの弊害が起きつつある。
主たるのは環境破壊と渋滞。
ネパール政府は入山料という高い料金を登山者に課しているのであるから、環境の整備にも力を入れてもらいたいものである。
<関連リンク>
(外部参考)ナショナルジオグラフィク
【エベレスト登山】ネパール側エベレストの入山料値下げは何をもたらすか。
2020年エベレストに登るには一体いくらかかるの?
【エベレスト登山】南東稜からエベレストに安く登る方法・プロフェショナル編
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