【エベレスト登山】南東稜、ネパール側からの登山について

 現在エベレストの登山は北稜ルートと呼ばれるチベット側からの登山と、南東稜又はノーマルルート呼ばれるネパール側から登山が一般的である。

日本語のウィキペディアには南東稜の解説が割愛されていたので、英語のウィキペディアの大体の意訳を掲載してみた。ページ内のリンクは英文のウィキペディアにリンクしている。

参照元ページ
http://en.wikipedia.org/wiki/Mount_Everest#Southeast_ridge

エベレスト南東陵登山

意訳開始
【南東稜】

南東稜登山はネパール側エベレストの南にある5380mのベースキャンプまでのトレッキングから始まる。

通常登山隊はカトマンドゥから標高2860mにあるルクラまで飛行機を使用する。その後、ナムチェバザールを通過し、高山病を防ぎ、高度順応の為に6から8日間かけてベースキャンプに向かう。

登山道具や食料などはクンブー氷河の上にあるベースキャンプまでヤク、ゾプキョやポーターによって運ばれる。

1953年ヒラリーとテンジンがエベレストに初登頂した年、。当時はカトマンドゥからベースキャンプに向かう道は無かったので英国登山隊は登山者、ポーター、シェルパなど400名以上を引き連れてカトマンドゥから出発した。

登山隊はベースキャンプで数週間を過ごし高度順応する。その間シェルパや一部の登山メンバーは危険なアイスフォールにロープやはしごを取り付ける。

クンブーアイスフォール エベレスト
エベレスト南東稜、最初の関門アイスフォール

アイスフォールには氷の割れ目やクレバス、そして崩壊する氷壁などがあり、ノーマルルートにおいての危険地帯の一つになっている。

実際、多くの登山家とシェルパがこのアイスフォールで命を落としている。登山隊の多くは危険を回避するために、夜明け前に登山を開始して、氷塊が崩壊する気温になる前に通り抜ける。アイスフォールを抜けると標高6065mにキャンプ1がある。

登山者はキャンプ1からウェスタンクームをローツェフェイスの基部まで登る。そこにキャンプ2やアタックベースキャンプを設置する、標高6500m。

ウェスタンクームは平らで穏やかな上りの氷河が詰まった谷である。大きなクレバスがいくつも横に走っているので谷の上部に向かって真っ直ぐ進めない。そこで登山隊は”ヌプツェコーナー”として知られるヌプツェの基部に近い細い道を通過することになる。

ウェスタンクームはその地形から風を遮断するので”沈黙の谷”とも呼ばれる、風が全くなくなるとウェスタンクームは相当な暑さになる。

Western Cwm  ウエスタンクーム
キャンプ1からキャンプ2 ウェスタンクーム
 

登山隊はキャンプ2から7470mの小さな縁にあるキャンプ3まで、ロープが張られたローツェフェイスを登る。

そこから更に500mで標高7920mのサウスコルにあるキャンプ4だ。

キャンプ3からキャンプ4にはジェネバスパーとイェローバンドという二つの難所がある。

ジェネバスパーは1952年のスイス隊が名づけた、金床(an anvil shaped rib)の形をした黒い岩のリブ。固定されたロープがこの雪に覆われた岩地帯の登攀を助けてくれる。

イェローバンドは大理石、千枚岩、片岩の地層帯で、通過するにはやはりロープの助けが必要。

サウスコル到着と同時に登山隊はデスゾーンにも入ったことになる。登山隊が山頂アタックの為に待てる時間は最大でも2,3日しかない。

晴れて、風が少ない日が山頂アタックに適しているのだが、もし天候に恵まれないとベースキャンプまでの下山を強いられることになる。

キャンプ4を登山者達は真夜中に近くに出発し10~12時間をかけて1000mの上にある山頂を目指す。

8400m小さなプラットフォームに到着するそれが”バルコニー”。ここでは休憩できる、南にある峰々が見え始め、夜が明けるのがこのあたりである。

尾根を進みあがると岩稜があらわれ、それを避けるために深い雪に入ることもあり、雪崩の危険もある。標高8750m地点、氷と雪の小さなテーブルサイズのドームが南峰の目印だ。

南峰から”コーニストラバース (Cornice traverse)”として知られている、南東稜のナイフエッジに沿って進む。ここは時々岩があり雪が張り付いている。

ここがノーマルルートで最も露呈されいる部分で、もし足を踏み外したら2400m下まで南西壁を落ちることになる。また右側は3050mのカンシュンフェース(Kangshung Face)だ。

このトラバースの終わり8760mが”ヒラリーステップ”と呼ばれるの岩場だ。

ヒラリーとテンジンは原始的なアイスクライム装備とロープでこのステップを上りきった。

Hillary Step ヒラリーステップ エベレスト
頂上直下にあるヒラリーステップ

現在、登山者達はシェルパにより事前に設置されたフィックスロープを使いこのステップを登る。

ステップの上部に出てしまえば山頂までは比較的容易な緩やかな斜面が続く。

しかしながら大きな雪庇をトラバースしている時は尾根でもむき出しの状態になる。

近年、エベレスト登山者は増え続け、ロープの順番が来るまでかなりの時間を待たなければならず、効率よく登ったり降りたりすることが出来なくなり、このヒラリーステップが急所になりつつある。

ヒラリーステップの後は登山者達は天候の悪いときにはトラブルの原因になりそうな絡み合うフィックスロープ群を抜けなければならない。

キャンプ4への下りの時間や午後の天候の悪化または酸素ボンベの残りを考えて、山頂には大抵30分以内しか留まれない。

意訳以上。

上記の分は英語のウィキペディアの南東稜登山の部分を意訳したものです。原文はこちら

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