【エベレスト登山】【ネパール地震】エベレスト上部に取り残された100人以上は何故下山できないのか?

2015年4月25日現地時間正午マグニチュード7.8の強い地震がネパール中部で発生。

この地震の影響でエベレスト付近にも雪崩が頻発。ちょうど4月はエベレスト登山期の真っ最中であり、多くの登山隊が入山していた。

通常は安全とされる標高5300mのベースキャンプにも雪崩が襲い、深刻な被害があった。

また登山期であったためにエベレスト登山中、また中部に滞在している登山者が下山できない状態であるというニュースがある。

今回はエベレスト登山の方法からなぜ下山できないのかを推測してみる。

キャンプ2から見上げたエベレスト
【写真】キャンプ2から見上げたエベレスト

エベレスト登山はどのように行われるか?

標高8848mのエベレスト登山では何と言っても高度順応が重要

そのために登山にとても時間がかかる。

標高5300mのベースキャンプから上部、5900mのキャンプ1や6300mのキャンプ2に滞在しては戻るという方法で高度順応を行う。

従って登頂までに時間がかかり4週間から8週間を必要とする。

キャンプ1はアイスフォール上部の雪原に設置
【写真】キャンプ1はアイスフォール上部の雪原に設置

4月の下旬は

今回地震が起きた4月下旬は高度順応の時期であり、多くの登山隊が上部のキャンプ1やキャンプ2に滞在していたと思われる。

ベースキャンプを襲った雪崩は動画で見たところ、キャンプ1とベースキャンプの上部にあるアイスフォールから発生。

ベースキャンプとキャンプ1、アイスフォールとの関係は「【エベレスト登山】図解+写真でエベレスト南東稜登山。その2 ベースキャンプからキャンプ1。」にて解説。

雪崩は何を引き起こしたか?

アイスフォールで発生した雪崩はかなり大きな規模であり、アイスフォールをすべて覆っていたように見えた。

昨年のエベレスト史上最悪の雪崩事故を受けて、2015年はルートを雪崩の起こりにくいところを通過しているはずだが、今回起こった雪崩はそのルートさえも飲み込んでいる規模の大きさ。

つまりエベレスト登山で難関とされるアイスフォールのルートをすべて破壊してしまった。

これにより再びルート工作の必要性が出てくる。また余震が続いている状態なのでルート工作もままならないだろう。

また通常の状態でさえ氷壁がいつ倒壊するか分からないアイスフォール。余震が収まらない状態では危険この上なくルートを再工作されるまで時間がかかりそうだ。

【写真】ベースキャンプよりすぐ上には難関アイスフォールが待ち受けている
【写真】ベースキャンプよりすぐ上には難関アイスフォールが待ち受けている

エベレストの難関【エベレスト登山】2014年4月雪崩の起こったアイスフォールとは?

上部の人を下山させる方法は

アイスフォールが通過できないとなると上部の登山者は下山ができない。ルートの回復も見込めない現時点で、下山する唯一の方法はヘリコプターを利用する以外にない。

しかし標高6000m付近では空気の薄さや天候の変更などでヘリコプターも安定飛行しにくい、現にべースキャンプ付近には墜落したヘリコプター2機の残骸がある。

安全を確保するためにも一度に運べる人数もそれほど多くないだろう。



衣食住は?

登山で上部にいる場合、ある程度の食料は確保しているので数日は問題ないように思える。

登山者は簡易バーナーと燃料は持っているので雪を溶かして水も確保できる。

テントまた低気温に対応したジャケット、寝袋も装備しているはずなので数日は耐えられるはず。

心配なのは余震による雪崩また下山準備が整うまで長期になったば場合の食料や燃料の不足ではないだろうか。

【写真】キャンプ2から望むローツェフェイス
【写真】キャンプ2から望むローツェフェイス

まとめると

ネパールで起きた今回の地震の影響でエベレストで大規模な雪崩が発生した。これによりベースキャンプ上部、アイスフォールのルートが崩壊。

余震が続いている状態では再工作も難しい。ヘリコプターが唯一の下山手段になる。

標高6000m付近は空気も薄く気温も低い、加えて余震による雪崩の恐怖もつきまとう一刻も早く無事の下山を願うばかりである。

追記
2015年4月29日未明(日本時間)ヘリコプターの往復により上部の登山者は無事にベースキャンプまで運ばれたそうです。

4月28日(火)19時29分時事通信より足止めの登山者、ベースキャンプに=ヘリでピストン輸送―エベレストのニュースが配信されました。

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