15 イタリア回遊編

高級レストランで手品

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今日は月曜日だけど、祝日だというので、手品に出かける。

祝日でお店が閉まっているにもかかわらず、観光客の数が多い。平日は手品の場所がないが、土日は閉まっているお店があるので場所に困らないし、文句も言われないのでよい。

午前中は勢いがよいほどコインが入ったが、2時くらいからさっぱり人が減って止まらなくなった。暑さのせいだろう。日陰でも暑い、何しろ暑い。これだけ暑いと手品をする気にならないし、だるくて見るのに立ち止まる気にもならない。

久しぶりに立ち止まった大男が

「今日、手品をしに来てもらえないか」

と言う。場所は「セントポールズベイ」と首都のバレッタから少し離れたところだ、それからレストランの場所を書いた紙を貰った。今日の会場はレストランらしい。

夕方路上の手品を早めに終了して、それからバスに乗りセントポールズベイに向かう。

紙に書かれたレストランはすぐに見つかった、なぜすぐに見つかったかと言うと地元の人が皆知っているような高級なレストランだったからだ。海辺に面したオシャレであり、重厚な建物で「げっ、ここか」と思わずにいられない。

何といっても自分の格好が気になる。ティシャツにチノパンだ。この店は正装以外は受け付けないオーラを放っている。「いいのかこれで?」と悩むも、時間も無いし、そんな服は持っていない。約束の時間なので致し方ない、足を踏み入れる。

入り口には生簀か熱帯魚か分からないけど魚が泳いでいるでかい水槽がある。ボーイがすぐに駆け寄ってきた「お席に案内します」ではなく

「何か用事でしょうか?」

と聞かれた。ボーイも私がこの場にふさわしくないことを知っているのだ。「ああっ、申し訳ない。」こんなお店だと知っていればせめて襟のついているシャツぐらいは着てきたのに。

「クリスという男性は分かりますか?」

と昼間の男性の名を尋ねると

「少々お待ちください」

と丁寧に対応される。さすが、社員教育が行き届いている。水槽の中の色鮮やかな魚を見ていたら昼間のクリスさんが2階席から降りてくるのが分かった。クリスさんが

「やあ、来てくれたんだね、ありがとう」

とニコやかに言ってくれて、ボーイに向かって

「彼は私のゲストだ」

と言ってくれたのでかなりホッとした。

クリスさんに連れられて二階席に案内された。みなオシャレな格好をして食事を楽しんでいる、唐突にクリスさんが

「この彼がこれから最高のマジックショーをしてくれる」

と各テーブルに分かるように大きな声で言い出した。

「ぎゃーーー」

と私は心の中で叫び声を上げる。

ただでさえ居心地が悪く、人目に付かないように早く立ち去りたいのに、意に反して大変な事態だ。

「ちょ、ちょっと待ってよクリスさん、正装ならともかく、私はティシャツですよ、(指でシャツをつまみながら)、これで手品を皆様に向かってやってよいのですか?ズボンもヨレヨレで靴もトレッキングシューズだし」

とお断りを入れると

「ははは、何の問題があるのか?」

とクリスさんは気にも留めない様子。クリスさんは大男で豪快だが、ここは豪快過ぎないか?皆綺麗なカッコでディナーを楽しみに来ているのに。

「いんですかね?」

と再三確認するも「行け行け」と推し進められるだけ。

完璧に場違いだが、やるしかなさそうだ。全く気が乗らないが、呼ばれてきた以上はやろう。しかし実際各テーブルで手品をしてみると、皆ほろ酔いなのか反応はよいので救われた。

しかしもう二度とこういう状況ではやりたくないものだ。これからはドレスコード(服装)を尋ねるようにしよう。

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