マドライの町を出発し、さらに南に向かう。
小さな村に差し掛かり日が暮れた、村を抜けるとすっかり辺りは暗くなり、街灯もない。村を抜けて少し進んだところに空き地を見つけた。
道路沿いにぽっかりと開いた空間で、寝るにはもってこいのところだ。早速、奥に入り、テントを建る。テントと言っても内側の網の部分だけを使い、蚊帳の代わりにするのだ。
ここまでへとへとになっていたのでテントにもぐりこむ。
大抵インドでテントを張ると、どこからともなく人が来て
「どうしてこんなところで寝てるのか?」とか
「ハロー」
と話掛けられたりするのだが、ここは人っ子一人来ない、辺りは静寂に包まれている。
「こりゃいい場所だ」などと思いながら眠りについた。
翌朝、明るくなったので目が覚め、テントから出る。
南インドは日中は恐ろしい暑さだが、早朝は空気が涼々として気持ちがいい。
体を伸ばしながら、深呼吸をする。ふとテントの横に盛られた土があることに気が付いた。
「あれなんだろう?」
長細い形に砂が盛られている、ちょうど人間の身長くらいだ。
「もしかして・・」
とあたりを見渡すと、同じような土を盛ったものが幾つもある。
更に、よく見ると、山に棒が立てられていて、その側には何かを燃やし、儀式をしたような形跡がある。
そうなのだ「墓」なのだ。お墓というと、墓石立ててしっかりしたものを想像するが、この辺りでは土を掘って土葬するだけなのだ。
「ひいぃ!」
と思ったがもう遅い。寝る前に知っていたら、この場所に近寄らなかっただろうに。
自分のテントのすぐ下に仏様が眠っていたかもしれない、そう思うと背筋が寒くなった。
どうりで誰も近づいてこなかったわけだ。
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