烈風

昨日から吹いている強い風が明け方になっても止んでいない。

夜中一時止んでいた様子だったけど、朝にはまた吹き始めていた「この風の中を進むの?」と悩むような強さだ。

私達が自発的に出発せずに風の様子を見ていると「さあ行った!」と泊めてもらったポリスに言われ、致し方なく出発することになった。

残り60kmで目的のタフタンに着けるのか、風が大きな不安要素だ。100%向かい風。走り出して風の強さを実感した、恐ろしく強い。

こんな強い風がずっと吹き続けている状態はそんなには無かった、ぱっと思い出せるのはチベットのギャンツェの谷の登りの時、そしてインドのナガプールの近くだ。

簡単に言うと台風の様な風が吹いていてそれに向かい進んでいるような感じ、追い風だったらどんなに楽だろう。休憩しようにもそういう場所はないし、ただただこの風の中を進むしかないようだ、自転車に乗れるだけましだろう。

しかし時には自転車を降りて風の中を押さねばならないことがあった。

突風に乗った砂が顔を直撃し視界をふさぐ。こうなるともう進むどころではなく、自転車を盾にその場にたたずむだけだ。時速6kmも出ていないだろう、もはや徒歩とそれほど変わりがない。

60kmと言うと単純に計算して10時間か。最初の10kmくらいを何とか進んだ所に小さいモスクが現れた。管理人がいて小さな店も兼ねており、水をもらえた。

トイレは初の乾式トイレだった。乾式というのは野外でそのままと言うこと、インドと違うのは一定のトイレゾーンが土手で確保されている点だけだ。

しかしここでは休まずに進む、あまり休みすぎると進みが遅くなり目的地に着くことが出来ないからだ。次の10kmも力を振り絞って進んだ、風が無ければどれだけ簡単に進んでいけるのか風のせいで1km、1kmがやたらに長い。恐ろしく長い。

なんとかまたモスクにたどり着いたが、ここは人がおらず廃墟と化していた。それでも風を防げるのでしばし休むことに、今の10kmで力を使い果たした。次の10kmは進めるかどうか分からない、もしかしたら全て歩いていかねばならないかも。そして風の中をまた進みだす。

やはり体力を使ってしまったので進むのがさらに辛い、歩きが多くなった。

前方に大きく左に曲がるカーブが見えたそこまで行けばいくらか風の当たり方が変わるだろう。

少し楽になるだろうと力を振り絞る、曲がり角に差し掛かると確かに風の当たり方がいくら斜め前方になり少し楽になった。

そしてその先にモスクが見えバイクが止まっているのも見えた「人がいる!」モスクに着くと水をもらい、小屋の中でくつろぐ。本当にモスクには何度となく救われている。

もしこれが無かったらこの砂漠越えはもっと過酷なものになっていただろう。

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!

09砂漠超え編の最新記事8件