レッチェの街に辿り着いた時の予想は的中し、この街での老後が思い浮かぶほどの勢いで滞在してしまっている。
旅行をしていると「あっ、この街いいなぁ」と感覚的に思う街がある。旅行者は人にも出会うがそれ以外のものにも沢山出会う、街もその一つ。
自転車をひぃこら漕いで街に辿り着き、一通り街をグルッと周った後に「何か感じのよい街」と思う。その「何か」とは何なのだろうか?
たぶんそれは一言で「これ!」と言い表せないもの。また訪れる街によって実に様々なもの。その中の何かに感覚が刺激され、たり心地よさを感じる。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感の総合感のようなものに訴えてくるのだろう。
レッチェの場合は長い年月の隔たりを感じさせる建築物を含んだ街並み、耳に飛び込んでくる喧騒がなく、南イタリア特有のゆったり感、豊富な食材、そして乾燥して温暖な気候。
気候に関して付け加えるならば日中は出歩けないほど暑いが、日が沈むと湿度低いせいかアジアの様な熱帯感はなく、ずいぶんと過ごしやすい。
とにかくここは非の打ち所がないほど感覚的には心地よい。
街との出会いを好印象にするのに実は五感以外の重要な要素がある。それはそこで暮らす「人々」。
どんなに素晴らしい場所であってもそこで暮らす人々がヒトクセあるのではやはり印象はよくならない。
レッチェの人々は驚くほどに穏やかで人見知りをしない。南の人特有と言うべきおおらかさがあり、人懐っこさがある。イメージのチャキチャキなイタリア人というよりは、ゆったり穏やかな印象を受ける。
観光大国であるイタリアは無数の観光客が訪れるので、時に観光客を相手にしている人は客に対してないがしろになり、いわゆる「観光客ずれ」するのも珍しくないのだが、ここにおいてはそういうものが感じられない。
そんなこんなでイタリアをブーツの形に見立てると「かかと」という辺鄙なところにある街だが、イタリアでは屈指の居心地のよさである。(あくまでも私にとってですが)。
南イタリアにあるレッチェはひそかにお勧めの街です。
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