朝から贅沢
朝食の時間が朝の7時から10時と聞いていたので、その時間に起きねばと思っていた。
メールをチェックするがハッサンから連絡はない。本気で放置か。
ドバイにやって来たのはよいがドバイトラベラーズフェスティバルが一体どんなイベントか全く不明のまま。
五つ星ホテルの朝食を食べる機会はそうそうない、これは逃しては大変、といそいそと朝食に向かう。
さすが五つ星ホテルの朝食。食材がズラリと並んで豊富でよりどりみどり。
ちょうど昨日空港で知り合ったサンザイさんが食事をしていたので相席。
サンザイさんもハッサンから連絡はないという。一体どうなっているのだか。
サンザイさんとこの朝食のレストランには他の参加者がいるかもしれないという話になった。
キョロキョロと辺りを見渡す。
よいホテルだけに席に座っているいる人もなんとなく上品。
しかし参加者かどうかは一見して分からない。旅行者らしい、アウトドアウェアでも着ていてくれれば分かりやすいがそういった人はいない。
贅沢すぎる朝食を食べて、サンザイさんと
「もし何の連絡もなかったら午後はドバイ観光に行こう」
と話をして部屋に戻る。朝食から食べ過ぎてしまって「食べ過ぎた~」とベットでゴロゴロする。いい身分である。
いや~最高~
朝食後の眠りに落ちようとしたところで、
「プルルル~、プルルル~」
と部屋の電話が鳴った。
「なんだ!」
飛び起きる。さすが5つ星、部屋に電話があるのか。
慌てて受話器を取ると
「Mr.Iwasaki?」
とやたらに丁寧な口調で女性の声。
「はい、そうです」
と答えると
「11時30分にフロントにいらしてください」
とだけいわれた、
「分かりました、フロントに11時30分ですね」
と念を押して受話器を置く。いよいよハッサンが現れるのか?
フロントに下りていくとそこには・・・
ついにドバイトラベラーフェスティバルが動き出すのか?
と少々楽しみに、11時15分にはフロントに下りる。
そこにはいかにもトラベラーという人が何人もいて・・・と想像していたのだけど、全く誰もいない。
「あれ、時間間違えた?」
しかしそんなことはない、最近のスマートフォンはインターネットにつなげば勝手に時間を現地に合わせてくれるのだ。
早く来すぎたか?
15分も時間前に集合するとは、さすが13年日本を離れていても日本人。世界標準は時間になったらダラダラ集合だった。しばしロビーで待つ。すると少しずつであるが、人が集まってきた。
彼らが参加者なのか?一体どんな旅行者なのか?期待が高まる。何せ以前ハッサンから送られてきたリストには凄い旅行者ばかりだったのだ。
インドのサンザイさんも姿を現した。
約束の11時30分を十分ほど過ぎた40分、アラブの衣装をまとった男性が二人やってきて皆に英語で「ウェルカム、ドバイ」と挨拶をはじめた。
彼がハッサンか?
何か会場があるらしい
参加者らしきロビーに集まった人達が、そのアラブ人男性の挨拶に耳を傾ける。
そして男性は「ようこそ、ドバイに来てくれました」と一人一人の手を取りながら笑顔で挨拶して周る。
参加者の一人が
「あなたがハッサン?」
と訊ねる。男性は
「いいえ、違います」
ハッサンが気になっているのは私だけではないらしい。彼はハッサンではないが確実に主催者側の人である。私も彼と握手しながら挨拶をした。
男性は一通り挨拶をし終わると、
「今日はドバイ市内観光と、それから会場に案内します」
と続けた。ここで初めてドバイトラベラーフェスティバルに会場があることが分かった。
次第にドバイトラベラーズフェスティバルの実態が明らかになっていく。