手品をしていると寄ってきた片言の日本語を話す若者。
自分の名前は「クリシュナだ」と言うインドの神様と同じ名前だ。

観光地で日本語を話し言い寄ってくる人ほど怪しい者はいない。彼もそれにピタリと当てはまる。ゲストハウスやらガイドを薦めてくるのかと思いきや
「こっちで手品をした方が儲かるよ」
と人が集まりそうな所に案内してくれると言う、半信半疑だったが付いて行ってみる。
確かに彼の言うところで手品をするとやたらに人だかりができた。しかし、ここからが怪しくなってくる
「俺はゲストハウスの紹介をしていて、もっといい場所を知っている、そこに行って手品をすればものすごいお金が集まること間違いないぜ!」
と(多少脚色してますが)こんなことを言い出した。
「これは怪しい・・・」
と思いつつも、私自身に金がかかる要因が全く見当たらなかったので彼に付いて行く。彼は勝手にバスを捕まえ
「これに乗れ、すぐそこだ」
と言う、私は
「自転車で行ける距離なら、自転車で行きたいのだが」
と伝えるが
「それでは時間がかかる、料金の事は心配しなくていい」
と彼がかなり強引に進めるので「やばいかな?」と思いつつも自転車ごとバスに乗り込んだ。
彼の連れて行きたかったところはナラヤンガートの町から10kmほど離れたチトワン国立公園に近いところにあった。
バスを降りると「ヤスイヨ、ドコトマルノ?」と片言の日本語を話すゲストハウス勧誘が集まり私を囲む。普段は自転車とヒッチハイクで縁がないが
「これがよくバックパッカーがゲストハウス勧誘に囲まれるというやつか・・」
しかし、勧誘は凄い「トモダチ、ドコニトマルノ?」とひっきりなしに聞いてくる、毎回
「テントで寝るからゲストハウスはいらないよ」
といっても次から次へ、さらにさっき説明した奴も再度同じ事をしつこく言ってくる。そんな時ここに案内してくれたクリシュナさんが周りにネパール語で説明してくれたのか、なんやかんやら人を追い払ってくれた。それから
「ここで手品をしてみろ」
と唐突に言うのである。いいけど、ここにはゲストハウス勧誘の人しかいないのでは?別に断る理由もないので客引きが沢山いる前で手品を始めると集まる、集まる。人に恐いくらいに囲まれたが、ひたすら手品を演じた。
一段落ついて「サンキュウ!!」と帽子を出したかがコインの集まりはイマイチ。クリシュナさんの話ではかなり集まると言っていたが、さっきのナラヤンガートの方がよかったくらいだ。
その後クリシュナさんの案内で数カ所で公演してみたが、まぁまぁという感じ。
彼は「マネージャー」をするから、手品で得た金額を山分けにしようと言う話を始めた。たいした収入も無いので「山分けも」何もないのだが彼が真剣に言うので、「それでは」とお願いする。
かくして人生初マネージャーがこのネパールで誕生し、共に行動するのであった。
マネージャー?クリシュナさん。
マネージャーに祭りを開催している所に連れて来てもらった。

会場には入れなかったので入り口で手品をするが、人の集まりはイマイチで彼の
「ここはやめよう」
とすぐに場所を移動する。何度かそんなことをしていると日が暮れてた。彼が勧誘担当しているゲストハウスの中庭にテントを張っていいという話しになっていたので今日の寝床は心配なかった。やっぱりゲストハウスの勧誘だったんだ。
幹線から外れた所には田園風景が広がっており、やぎ、牛、鶏などが容赦なく道路に出てくる。ここの人々が農業中心の生活をしていることが分かるのだが、こんな所にゲストハウスがあるのか。
疑っていたが、奥の奥にクリシュナさんが言うゲストハウスがあった。まず第一の疑問「ここ客来るの?」。
オーナが「部屋に泊まってもいいよ」と言ってくれたので、今日はゲストハウスの一室に泊まれることになった。
しかし、このゲストハウス営業しているのか?と人影はなく、手入れも行き届いていない。
中庭には雑草が生え放題だし、食堂と言われる所はもう何年も使われていない様にホコリが溜っている。当然私以外にお客?はいない。
部屋で寝させてもらったのはよいが、蚊が多くて多くて熟睡できず。マネージャーとの活動の行く末が心配だ。
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