フランスやイタリアその他多くのユーロを使う国では、大きな額の紙幣を使をうとすると、その真偽を判別する機械を必ず通す。
いつもその行為を見ながら
「そんなに偽札が多いのか」
と思ったりする。
しかしユーロ圏に入ってから長くなるが、偽札に出会ったことは一度もない、もしくわ出会っていたとしてもそれが偽札と気がつかなかったのかもしれない。
偽札も本物と見分けがつかなければもはや偽ではないのじゃないか。
今日は土曜日、予定では平日より収入が多いはずだ、あくまでも予定では。
ここニースの手品は毎日が波乱に満ちている。それは気候のせいだったりするかもしれないが、一概に気候のせいだとも言い切れない。
今週は10ユーロに満たない日が3日もあったので土曜日といえどどうなるか、少々不安である。
ご飯と目玉焼きを食べて2時半頃出発。今日の天気は晴れではないが、昨日より風が少ない。
通りに着くと、さすが土曜日人通りが多い。
毎日見ていると今日の人通りの多さがわかる。
始めるとすぐに人が止まってくれた。「さすが土曜日」などと思いながら続ける。土曜日は子連れが多いし、若者のグループも多い、よって人が足を止めやすい。
今日は、これから自転車世界一周に出ると言うケビンというフランス人の若者のカップルに話しかけられた。二人はこれから準備をして2,3年かけて世界を回るらしい。
それからスコットランドの女性にも話しかけれた、話が長かったが、だんなと子供どちらも日本語を話すと言っていた、どうしてだろうか。
また中国人が見ていて、愛想よく「中国のどこから?}と聞いたら「広州」と返事が返ってきて、「広東の料理はおいしい」知っていた中国語で言うとニコリともせずに行ってしまった。なんだったのだろうか。
そんなわけで日が暮れる。日が落ちても人通りがあるので続ける。二人の若者と数人が足を止めている時、見ていた一人がお札を入れてくれた。
音がしないのですぐにお札だと分かった。
チラッと器を覗き込むと、5ユーロ札ではない、そして10ユーロ札でもない、50ユーロ札だ!
「うわっ」立ち去り振り向きもしない人に向かって
「メルシー!」
と聞こえる様大声で言ったけどジャケット来た男はそのまま振り向きもせずに行ってしまった。
「路上の手品に50ユーロ入れるか普通?」
と思いつつも。
「凄すぎ!」と喜ぶ自分もいる。
「これは盗まれたら大変!」とその50ユーロ札を10ユーロに変える手品をしてカバンの中にしまった。
今日の手品を終了してから、「いやー凄い気前のよい人がいるものだ」と明るいライトの下で先ほど貰った50ユーロをしげしげと眺める。
「うんっ?」
ふと何だが、少し印刷が雑に見えた。
「50ユーロ札ってこんなに印刷のエッジがギザギザなのか?」
と思いながら透かしの光越しに部分を見る。透かしがあるのか無いのかハッキリしない。数字の近くのユーロのフラッグが少し滲んで見える。
「こっこれは」
この時点で気が付いた「にっ偽札!」。
おつりや両替の時にこれを混ぜられたなら50ユーロを失うことになるが、幸い器に投げ込まれただけなので、損害は私の気持ちだけだったからよかった。
このお札を入れて振り向かずに立ち去った男はもしかしたら偽札を作ってる人だったのかもしれない。
器に50ユーロ札を入れて、振り返りもせずに立ち去ったのはこういうことだったのか。
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